【都響】マーラー交響曲第6番「悲劇的」

横浜みなとみらいホールで、東京都交響楽団が指揮者にインバルを迎えた「新マーラー・ツィクルス」として行われた演奏会に出掛けました。マーラー交響曲第6番は高校時代に惚れ込んだ曲で、クリムトにも通じる世紀末ウィーンが醸し出す不安と耽美にあふれた名曲です。ただ、僕は第1楽章が圧倒的に好きなので、後が尻すぼみになってしまうんですけどね…

このホールはサントリーホールに似ていて、オケの後方にも客席があります。僕は当日券で低音側の4列目をゲット。目の前はチェロとコントラバスでした。第1楽章の最初の主題の部分は、ややアタックが乱れてしまったのですが、反復した第1主題のクレッシェンドは絶妙。第2主題の弦が奏でる不安を無理に掻き消そうとするかのような、神経を直に触るような耽美的な旋律は、情感にあふれていて素晴らしいものでした。

チェロの旋律は力強くよかったのですが、第4楽章の中盤で「バチン!」という音が轟きました。どうやら、第3プルト表のチェロのG線が緩んでしまったようで、演奏の途中で必死にペグを回していました。曲が終わって拍手を受けている際には、周りのチェリストに苦笑交じりに声を掛けられていたので、みんなハラハラしていたのでしょうね。

ちなみに、指揮者のインバルの足元が気になったのですが、靴に赤いラインが入っていたのです。たぶん、底にゴムを引いていたんじゃないかな? カツカツ足音を立てたくなかったのでしょうか。