【UEFA CL決勝】チェルシーに栄冠

偶然とはいえ、バイエルン・ミュンヘンのホームスタジアムでの決勝。チェルシー不利が伝えられたのは、至極当たり前のことだろう。青と赤の戦いに、僕が思い出したのは「ウルトラマン」に登場する古代怪獣のアボラスとバニラ。このとき、勝利したのは青のアボラスだった。

前半から一方的に攻め立てるミュンヘンに対し、守備が堅いとはとても言えないチェルシーが耐えた。リベリーが2度ゴールネットを揺らすも、どちらもオフサイドとなり、フスバル・アレナ・ミュンヘンに集結した赤いサポーターは何度も頭を抱える。そして後半38分にミュラーが決めた先制点は、鉄壁を誇るツェフにとって「ここしかない」スペースを突いた。ミュラーがそのままベンチに退いた1分後、CKからドログバが劇的な同点ゴール。これも、高速クロスから一瞬の差でノイアーを破ったものだ。こんな形でしか点が決まらないなら、日本人のスキルではかなり厳しい。

延長前半にドログバリベリーを倒したPKをツェフが止め、PK戦に。一人目のマタが外したチェルシーだったが、ダビド・ルイスランパードアシュリー・コールは完璧に決める。PKも、あのくらいポストの端を狙わなければ決まらないし、だからこそ外れるリスクも大きい。オリッチが外して追いつかれたミュンヘンは、シュバインシュタイガーもポストに当てて外す。止めたツェフは、当然と言わんばかりのクールな表情だ。そしてチェルシーは、ドログバが決めて栄冠を手にする。ドログバの少し間が抜けたような緩い歓喜が、何とも言えず印象に残った。

チェルシーを応援し始めてから12年。最近はチームの魅力も失われつつあるが、ドログバやテリー、フェルナンド・トーレス、カルー、ランパードと好きな選手も多いだけに、この優勝はうれしい。おめでとう、ブルーズ!