【インシデント】悪女たちのメス

「アンフェア」シリーズの原作者・秦建日子の文庫書下ろし「インシデント」を読了し、ちょうど金曜日に放送されたドラマ版「悪女たちのメス」も合わせてチェックしました。原作とドラマでは描き方が違っていますが、得意分野であるテンポある会話で読ませる原作小説に対し、ドラマはフォーカスが明確になっていました。

原作では、作者が慣れない医療問題という領域を扱うため、序盤は持ち味のテンポやリアリティある会話がやや鳴りを潜め、説明部分が多くなっています。ドラマでも、序盤はダイジェスト風なつなぎになっていますが、終盤の仲間由紀恵瀬戸朝香の対決は見応えがありました。ただ、重要な役どころである高校生男女が原作のイメージとは似ても似つかない点は気になりました。今の地上波テレビドラマの低迷はキャスティングにあるのかもしれません。

映像化することで手術のシーンは説得力を増したものの、エキセントリックな事件を扱う部分についてはかえって嘘っぽさだけがクローズアップされてしまいました。ドラマ化を前提とした作品だとしても、なかなかその通りの映像にはならないのでしょうね。

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