【刑事 雪平夏見】愛娘にさよならを

篠原涼子主演で人気のあったテレビドラマ「アンフェア」の原作小説「刑事 雪平夏見」のシリーズ、「推理小説(アンフェアの原作)」「アンフェアな月」「殺してもいい命」に続く第4弾「愛娘にさよならを」が出版されています。このシリーズは、ドラマを見た人には篠原涼子の姿が目に浮かんでビジュアルなイメージを持てるはずです。

序盤では、連続ドラマのような「続きへの興味」へのフォーカスがちょっと強すぎて、違和感を持ってしまう部分があります。しかし、終盤に進むにつれて「選択と決断」というテーマが表面化してきて、充実した読後感のある作品と感じられるようになりました。母であることとプロフェッショナルであること。最近は「イクメン」が流行のように語られますが、女性が持って生まれた母性の中で迷い悩むさまを、男性である作者・秦建日子がうまく描写しています。

読ませる展開力と文章のテンポの良さは絶品。ドラマのカットが切り替わるように、頭の中に映像が浮かんでは消えてゆきます。最後まで一気に読めてしまう作品ですが、最後の最後で震災とからめてしまったおは「やリ過ぎ」というところでしょうか。ある意味、蛇足だったように思えます。

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309020532