【人事の話】障害者雇用の現実

企業は社員数の1.8%に相当する障害者を雇用する義務があり、これを達成できないと雇用納付金という反則金を国庫に支払う必要があり、悪質な場合は社名の公表や行政指導という措置があります。しかし、この1.8%は曲者なのです。

多くの社員を抱える企業は大都市圏に集中するため、東京都区内では障害者は絶対的に不足気味で、その代わりに地方では過剰傾向にあります。このミスマッチに着目して、地方での直接雇用を推進するために特別なオフィスを用意する企業もあります。また、障害者と一言で言っても、車椅子を使うような肢体に障害のあるケースも、聴覚、視覚のような障害もあります。そしてペースメーカーを使用していたり透析治療を要するような「内部障害」や、メンタルに問題を抱える「精神障害」、また「知的障害」もあります。

企業がその気になれば、候補者が多いのは「精神障害」。ただ、企業は「精神障害」や「知的障害」の雇用はなかなかハードルが高いのです。ノウハウもないし、何かトラブルがあると他の社員にも影響するリスクを考えてしまうのです。

障害者雇用をサポートしてくれる企業のプログラムには、社内にマッサージ師を雇用するプランや、有機焙煎のコーヒーを提供する喫茶室を運営するプランを持っている会社もあります。工夫しだいでいろいろな雇用は可能なので、企業も知恵を絞らないといけないのでしょうね。