【インセプション】難解で深い作品

148分という長さから話の複雑さは覚悟していましたが、それにしても「夢の階層の深さ」という概念にはかなりとまどいました。夢の中に潜入するスパイの話と言ってしまうのが憚られるほど、深みのある作品であることは間違いありません。それでも、夢の中に夢が出てきたりすると、こちらとしては思考停止状態に陥ってしまいます。

この作品では「夢の中では時間の進み方が遅くなる」ことになっています。僕の感覚では、「夢の十分は現実の一分」くらいに思っていて、夢の中の方が濃密な時間だと感じていました。このあたりの捉え方の違いが何によるものなのかは、少し掘り下げてみたい気がします。夢の階層を落ちてゆくことは現実から遠ざかることだとすれば、黄泉の国への階段のようにも思うのです。

主演のレオナルド・ディカプリオは、いかにも彼らしい安定した役どころ。渡辺謙は思ったよりもずっと重要な位置づけで登場します。何度も見ないと理解をすることは難しそうですが、148分の大作とあってはそう簡単にリピートする気にもなれないのが辛いところです。

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