【アカデミー賞】マッドマックスの意外

日本ではレオナルド・ディカプリオの主演男優賞受賞ばかりが取り上げられているが、今年のアカデミー賞の目玉は「マッドマックス」が6部門でオスカーを手にしたことだろう。録音や美術、音響などといった装置系を軒並みかっさらったのだが、俳優陣や監督、作品では受賞を逃している。監督のジョージ・ミラーは、どんな気持ちで会場に座っていたのか知りたいところだ。

監督賞は、「レヴェナント 蘇えりし者」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。昨年の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」に続く受賞だったが、バードマンは非常によくできた作品だっただけに、続けてアウトプットを生み出せる才能には驚かされる。レオナルド・ディカプリオが、受賞スピーチでアル・ゴアのように環境問題を取り上げたことは意外だった。

MCを務めたクリス・ロックはアカデミーの人種差別問題に絡めて、黒人ネタを連発していたようだが、ただでさえ長いMCが単調になってしまい、僕にはあまりおもしろくなかった。ステージ・パフォーマンスでは、サム・スミスが鼻声で音を外しがちと低調だったのに対し、レディー・ガガのエネルギッシュな歌唱は素晴らしかった。遊び心を封印して、硬派に徹した圧巻のパフォーマンスだった。