【人事の話】異なる価値観を尊重

僕の勤務する会社では、「対話を通じた企業理念の実現」のために3つの事業所の社員全員を一箇所に集めて合宿を行います。「対話」とは「議論」とは違って、必ずしも答を求めません。お互いの考え方を開示する、そのプロセスに重点が置かれます。お互いがお互いの考え、つまりは自分とは異なる価値観に触れ、そしてそれを受容する機会となるわけです。

対話の原点には、「異なる価値観を受け入れようとするマインド」があります。相手の意見に従うのではなく、「自分と考えは違うけれど、それはそれで尊重する」ということで構わないのです。話す方も、隠したり飾ったりせずに、率直に自分の考えを開示することが求められます。しかし、ここで気をつけなければいけないのは「異なる価値観を受け入れることが重要」という考え方もまた、ひとつの価値観でしかないことです。

社員の中には「自己開示なんてしたくない」「そういう雰囲気が鬱陶しい」という人も、もちろんいます。そういう人を「ダメな社員」と考える人も多いのですが、そう考えてしまう人こそ「異なる価値観を受け入れられていない人」なんですよね。ここが実は、大きな落とし穴になっているのです。