【ラフォーレミュージアム】デヴィッド・リンチ展

原宿のラフォーレミュージアムで、「デヴィッド・リンチ展」が開催されています。「暴力と静寂に棲むカオス」という副題がつけられていますが、僕が感じたのは「創造するのではなく、破壊するアート」ということでした。

絵画や映像、立体など多彩な表現方法をとっているものの、共通しているのは暗い色彩と崩された造型。リンチの描いているモチーフは通常のアート作品の対極にあるはずなのに、対峙するのではなくパラレルワールドのように「並行して存在する、価値観の異なる世界」に見えます。考えてみれば、彫刻も「削り取る」芸術なので、「破壊するアート」にも通じるのかもしれません。

副題に「暴力」とあるものの、僕には暴力的な印象はありません。通常のアートとは異なる価値観が思いもしなかったところに存在して、しかも意外なほどに安定的に、静寂としてそこにあるのです。これまでの価値観を根底から覆されてしまったことには、正直なところ「怖い」とさえ感じました。もし破壊の先に再生があるのだとしたら、破壊も「暴力」で片づけてしまってはいけないのだと思います。

http://www.lapnet.jp/event/event_l121110/