【映画】グリーンブック

上海へ向かう機内で、日本公開日に鑑賞した「グリーンブック」。オスカー授賞に関して、「結局whitesplainingなのに、ダイバーシティめかしている」といった批判があったことを前提に見ていた。つまり、「白人の方が優れていて、有色人種に教えてあげる物語」だという批判だ。結論から言えば、これは「白人」っぽい考え方/スタイルの黒人と「黒人」っぽい白人が、お互いの価値観を共有して成長するダイバーシティのストーリーだと感じた。

もちろん描かれるエピソードは人種差別ありきの時代なので、現代の視点で見てしまうと「あり得ない」ことの連続なのだが、そんな背景でも分かり合えた二人ということなので、見終わって心に残る感情は心地よいものだ。白人とはいえ、いわゆるWASPではないイタリア系やアイルランド系は低く見られた時代であり、作中でも「半黒人」といった扱いを受けている。一方、黒人は一流ピアニストであるとともにドクターでもあり、時代背景を逆手に取っていると思われる。

凝った編集もなく、タイムラインが交差することもない。メッセージも演技もわかりやすく、行間を読まなければならないような小難しさがないのはとても気楽だ。トニーの妻ドロレスに見覚えがあったものの誰だかわからなかったが、「ER」の看護師サム役のリンダ・カーデリーニだった。