【オルセー美術館展】ヴュイヤール再発見

パリのオルセー美術館を訪れたこともあるのですが、今回の展覧会はブログ仲間のさちこさんの評価も非常に高かったので、日曜朝という混雑必至な時間に出掛けてしまいました。ちょうど開館直後でまだ整列入場が続いていたので、最初の展示の付近は大混雑でした。特に、背の低い子どもや車椅子でも鑑賞できるように展示が低いため、あれだけ混雑していると作品の全貌を見ることすら困難です。

いきなりモネの「日傘の女性」「ロンドン国会議事堂、霧の中に差す陽光」といったインパクトの強い作品が迎えてくれます。ここのところ毎週のように美術館に出掛けているのですが、これだけ上質な作品が揃っている空間は貴重です。混雑していても、携帯の着信音が鳴り響いても、この空間の質感には満足させてもらえました。

続くエリアでは、鮮やかな点描画の手法で描かれたシニャックの「マルセイユ港の入り口」が目を引きます。黄昏時の気まぐれで曖昧な日差しは、こんなピンクや紫のような妖しい色になることもありますよね。さらにセザンヌロートレックのエリアを抜けると、ゴッホゴーギャンが迎えてくれます。「星降る夜」で川面に映った星の光が揺れている描写や、「アルルのゴッホの寝室」の懐かしいような色彩に、しばし時を忘れました。

そして何よりも、僕にとっての収穫はヴュイヤールを再発見したこと。子どもの頃に彼の展覧会を鑑賞した記憶はすでに薄れてしまいましたが、同系色でまとめられたコントラストの中に感じられるフランスらしいエスプリに、心が躍りました。装飾からイラストに向かう途中にあるような独特の画風は、特に「フェリックス・ヴァロットン」に特徴的に見ることができます。さちこさんも書いているように、夜間開館を狙うのが正解なのでしょうね。