国立新美術館で開催されている「印象派を超えて 点描の画家たち」は、アムステルダム郊外にあるクレラー・ミュラー美術館の幅広いコレクションを「分割主義」というコンテキストで再編集しています。これはもう、キュレーションの見事さを称賛するしかありません。ちなみにクレラー・ミュラー美術館は、広大な敷地の公園の中にある環境が特徴で、一度訪れてみたいと思っています。
今回の展覧会は、ゴッホの展示だけでも見応え十分。「種まく人」をはじめとする作品群は「ゴッホ展」と謳っても十分に通るくらいの量と質なのです。モネから始まり、印象派特有の光の軌跡を追うようなタッチがスーラやシニャックでは点描となり、レイセルベルヘでは明確に補色の関係から分割主義が説かれ、最後はモンドリアンにつながります。それらの作品を紡ぐ赤い糸が、見えるような気がする展覧会でした。
この手の展覧会は動員を狙って「ゴッホ」「印象派」を前面に押し出す傾向がありますが、本展ではそれらに過度に依存し過ぎない構成とタイトルで、キュレーターの強い気概を感じました。初心者にも美術通にも楽しめる、懐の深い展覧会だと思います。
http://km2013.jp/