【恵比寿映像祭】現代芸術に浸る休日

印象派でも屏風絵でもなく、コンテンポラリーアートに浸りたい気分でした。「浸る」ということは、単なる平面よりも映像や音声などで複合的に空間を感じたかったのです。いろいろ展覧会を調べてみると、ガーデンプレイス東京都写真美術館で開催中の「第2回恵比寿映像祭」を発見。特に興味を惹かれたのはジョン・ケージナム・ジュン・パイクアンリ・カルティエ・ブレッソンといった現代芸術の大家たちの作品が出展されていることでした。

ナム・ジュン・パイクは韓国からアメリカに帰化した映像アートの先駆者で、日本での在住経験もあります。彼の作品「参加型TV」は、テレビモニターの前にマイクが用意され、鑑賞者の歌声に合わせて波形が変化するという単純ではあるけれどインタラクティブ性を効果的に組み込んだもの。手が込んでいないからこそ、面白さがストレートに伝わってきます。

アンリ・カルティエ・ブレッソンの写真が切り取るヨーロッパの風景も素敵です。街角を横切る自転車や人物の残像が、その瞬間の濃密さを語ってくれるのです。僕にもこんな写真が撮れたらと、思わず撮影意欲が湧いてしまいました。

一方、前衛音楽を紡ぎだすジョン・ケージの映像作品「ヴァリエーション察廚蓮∨佑砲呂舛腓辰汎呂い討ませんでした。それよりも、山城知佳子の海底に沈めたマイクが拾う音声と青い海に飛び込むシュノーケラーによる「沈む声、赤い息」の試みが、興味深く感じました。

来場者のほとんどが強い意思を持ってこの展示を見に来ている雰囲気なので、空間としてもとても過ごしやすい上質感が漂っていました。日曜日の午後にゆったりとした時間を過ごすには、最適の場所です。

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