【ベンジャミン・バトン】老いへの希望

WOWOWで放送された「バンジャミン・バトン -数奇な人生-」。80歳の肉体で生まれた男が、年齢を遡るかのように若返ってゆく映画と聞いて、僕はCG効果を見せたいがための作品かと思っていました。ところが鑑賞してみると、実に深遠なメッセージを感じるのです。

人間は子どもの頃には一人では何もできず、そして老年期には再び何もできない時代を迎えます。つまりは、若→老というリニアな時間の流れは、依存→独立→依存というループに置き換えることができるのです。少年期には少年期の、老年期には老年期の、そのときにしかできないことが待っている。そう考えれば、老いてゆくことは恐れるに足りないのではないでしょうか。

若い頃のベンジャミンは、ブラッド・ピットの顔の映像を別人の身体に合成した映像だそうですが、それを感じさせない仕上がりです。ブラピの表情もとても繊細に表現されており、若返っていきながらも人生の重みのようなものを感じさせるのも演技の力なのでしょう。ケイト・ブランシェットは相変わらず渋い演技で、目立ち過ぎないところが持ち味ですね。

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