【モディリアーニ展】画風の原点は

乃木坂の国立新美術館で開催されている「モディリアーニ展」をレポートします。モディリアーニというと、縦に異様なほどに長い顔と鼻、そしてアーモンド形の虚ろな目を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。この展覧会の最初の部分の展示を見ると、そんな彼の画風が一貫していたというわけではないことを思い知らされます。

初期は作品はあまりクセのないもので、デッサンに至っては線の使い方もバランスも決してうまいとは言えないようなレベルです。それが時間を経るに従って、あの独特の画風が確立していくのですが、特に若い女性を描くときにあのような特徴的な作品になるようです。例えばあの首や鼻を実際の縮尺に置き直してみるとわかりますが、実に凡庸な作品になってしまいます。後世に残るような芸術性が失われてしまうのです。

もうひとつ彼の作風として気づいたことは、顔はカンバスの上部に描かれているということです。また、よくデッサンの基礎として顔を丸、もしくは卵型としてとらえ、そこに十字線を引いて目と鼻の位置を置きます。ところがモディリアーニの描く顔は目が上から1/3ほどのところになるのです。結果、鑑賞者の視線は上に向き、カンバスの中央部は長く伸ばされ、そして明るい肌色を用いた首で埋められたと考えることもできるように思いました。

いずれにしても、人間的にも波乱万丈の人生を送ったモディリアーニについて、いろいろと考えさせてくれる展覧会であることは間違いありません。

http://modi2008.jp/