【ゴッホ展】パワーとオーラの描写

乃木坂の国立新美術館で先週から始まった「没後120年 ゴッホ展-こうして私はゴッホになった-」に行ってきました。初期の作品からゴッホの画風はかなり大きな変遷をたどっているのですが、一貫して感じられるのは描いている対象物の持つパワー、もしくはオーラです。

じゃがいもを食べるオランダ人の描写には、素朴で無骨な人々の強さ。自画像からは湧き出してくる強い意志。そして入院していたサン・レミの療養院の庭を描いた作品では、緑のきらめくような生命力。ゴッホのあのタッチというか色の乗せ方は、対象が持つパワーやオーラを捕らえてカンバスに封じ込めているのだと感じました。「サン・レミの療養院の庭」では、立体感ある緑の絵具がまさに日光に輝く葉のように展示室の光を反射させてきらめいており、その様はリアルな実感を伴っています。中には指を使って雲を描いた痕跡のある作品もあるそうですよ。

ゴッホはまた、日本の浮世絵に惹かれていったのですが、日本画の持つデッサン、つまり対象物を「線で縁取る」描き方が、対象物のパワーをより引き出す手法と感じ、共感したのではないでしょうか。彼の絵の本質がよくわかったような気になれる、そんな展覧会でしたが、ゴッホ以外の画家の作品も多かったので、その位置づけがややわかりにくく感じました。この展覧会は、東京の後は福岡と名古屋に巡回します。

http://www.gogh-ten.jp/tokyo/