【斉藤さん】わかりやすいつまらなさ

水戸黄門のように、展開がいつもワンパターンで最後は勧善懲悪とわかっていてもおもしろいドラマもあるけれど、わかりやすいドラマは得てして駄作になりやすい。「斉藤さん」は、言い難いことをはっきり言う人物を主役に据えたドラマということで期待していたのに、なんでまあこれほどまでにつまらなく仕立てられるのか…

その原因のひとつはキャスティングだろう。同じような顔ぶれに、同じようなキャラクターを演じさせれば、視聴者は飽きる。さらに、ネームバリューだけでベストチョイスではない若手を起用すれば、描き方が単調になるだろう。いやキャスティング自体が悪いわけではない。観月ありさミムラ佐々木蔵之介は好演している。しかし、須藤理彩濱田マリは、無理にキャラを立てようとし過ぎていて、画一的な印象を受けてしまう。

そして山田親太朗率いる高校生をヒールに仕立てたことで、斉藤さんが立ち向かう「悪」のスケールが一気に下がってしまった。要は「山田をそれなりの役で使いたい→キャラを立てる→ストーリーが平板化→つまらない」という悪循環なのだ。最近のドラマ公式サイトには、たいてい登場人物の相関図が載っているが、こういう単純化した図式化が日本のドラマをつまらなくしている。ERやLOST、HEROESなどの海外ドラマはそんなに単純な図式ではないし、同時並行で複数のプロットが展開する「わかりにくさ」こそが魅力なのだ。

日本のドラマ制作者が陥っているドロ沼が、ここにあるように思えてならない。もっとわかりにくい展開がダラダラと続くシリーズもののドラマを待望する。

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