【フェルメール】点在する名画

数年前まで一番好きな画家は誰かと尋ねられたら、ルノワールカンディンスキーと答えたことでしょう。でも、今ならその答えは「フェルメール」なのです。日本でもすっかり有名になったフェルメールですが、彼の遺した絵画は別の画家の作品ではないかと言われているものを含めても、その数が40に届かない寡作の画家としても知られています。

実は僕とフェルメールは相性が悪いのか、かつてパリのルーブル美術館を訪れた際にはちょうどそのエリアがクローズされており、ワシントンDCのナショナルギャラリーでも改装の影響で鑑賞することができなかったのです。それでもこの前の年末年始にデン・ハーグのマウリッツハウスで「真珠の耳飾りの少女」に出会ったときは、モナリザ並の感動を覚えました。それほどに人物の表情に惹きこまれるし、彼の作り出す空間の構図は誰にも真似できないほどの秀逸さです。

マウリッツハウスで買ってきた「真珠の~」と「デルフトの風景」のレプリカをオフィスに飾っていたところ、上司のアメリカ人が「僕も、この画家が好きだ」と話しかけてきました。英語では「Vermeer」は「ヴィルミル」と発音するということを知ると、また新たな印象を受けますね。ワシントンDCに行った際に入国審査官に旅の目的を問われたのですが、彼女の表情が微妙だったのはきっと「フェルメールの絵を観に」と日本での読みそのままに発音していたからでしょう。

そのフェルメールの「牛乳を注ぐ女」が、乃木坂の国立新美術館に9/26からやって来ます。フェルメールの作品の中ではインパクトという意味では弱い作品ですが、彼の描く女性の表情や衣装の素材感を十分に楽しめると思いますよ。

http://www.nhk-p.co.jp/tenran/vermeer/index.html