【なでしこジャパン】手堅い戦術で快勝

オーストラリアで開催されたアジアカップで4位となり、ワールドカップ出場権を賭けたメキシコとのプレーオフに回ったなでしこジャパン。国立競技場でのファーストレグで大橋監督は、それほど目立たないが大きな意味を持つ戦術変更をいくつか仕掛けてきた。

まずは、チームを日テレベレーザをベースにしたものに作り変えたこと。ベレーザは今季のリーグもダントツで制している上に、下部組織メニーナの充実もあって層の厚さも段違いのチームだ。先発11人中7人がベレーザで、そこに福元、磯崎、宮本、宮間という力のある選手を配したことで、バランスやコンビネーションを崩さないことを狙ったのだろう。

そして両サイドバックは安藤、矢野という本職ではない攻撃的な選手から、近賀、宇津木に入れ替えた。これらの変更は、リスクを犯さずに守りから入るという監督のメッセージだろう。結果、序盤から中盤の守備が機能していた。しかし一方、ボールを持ってからのパスミスも目立ち、前半には宮本のミスからメキシコFWにゴール前までフリーに持ち込まれるシーンを作られた。「産休明け」の宮本の動きは決して良いわけではなく、早い時間での交代は理解できた。この試合ではいろいろな意味で磯崎の存在感があまりなかったのは宮本のおかげだと思うし、キャプテンシーの発揮というプレッシャーから解放されてプレーに専念できたのではなかっただろうか。

澤の活躍ばかりマスコミに取り上げられているが、この試合のMVPは間違いなく宮間だと思う。あの小さい体でして守備を切り裂き、正確で速いクロスを上げるパワーとテクニックは特筆すべきものだ。