【J入替戦】組織力<タレント

水曜日の第1戦は見ていないのだが、おそらくは今日の前半と同じ展開が合計135分続いていたのだろう。それほどに「勝ちたい」よりも「負けたくない」という気持ちが、選手にもベンチにもうかがえるゲームだった。福岡はチームプレーの完成度では明らかに神戸を上回っていたが、三浦アツのような飛び道具もなければ、ここぞというときに決められるFWもいなかった。要はタレントの差、ひいては資金力の差だったのかと思うと少し寂しい気持ちになる。

神戸の先制はみごとだった。福岡DFがゴール前でクリアしたボールを、近藤がダイレクトに蹴りこむ。リーグ戦ではフィジカルの弱さが目についた近藤だったが、ここ一番で大きな仕事をした。一方の福岡が本気になったのは、布部がCKからヘッドで押し込んでから。これでは、いかにも遅すぎた。終盤、城後にボールを集めようとしていたが、最終ラインの攻防では神戸が一枚上だった。

今日は天皇杯5回戦も開催されたが、札幌と新潟の対戦でドラマがあった。2-1とリードした札幌のGK佐藤が、背後に新潟FW矢野がいることに気づかずにボールをリリースし、矢野にかっさらわれて同点ゴールを許してしまった。延長でも決着がつかずにもつれ込んだPK戦で、その矢野を佐藤が止めて決着が着いたのだ。矢野はずいぶん精神的に成長したように見えたが、またひとつ試練を経験してさらに大きくなることだろう。

入替戦も天皇杯も、リーグ戦とは違う緊張感の中で紡がれるドラマがある。これだから、サッカーはおもしろい。