【ナビスコ決勝】大分・逆光の戴冠

試合開始直後の15分に、トリニータはここ数節のリーグ戦で見せていた迷走を完全に振り払っていた。焦って不十分な状況のままに前線にボールを蹴りこむ姿はなく、DFラインとボランチでしっかりとボールを回し、相手の陣形を崩しにかかっていた。前半、そして後半の15分までを0-0で乗り切ったときには、もうそれは大分の勝利の形ができていたのだ。

1点目はエジミウソンから金崎、そして復活を果たした高松のヘッドがGK山本とポストの狭い空間を突き破った。2点目も金崎がためて、フリーのウェズレイへ。1対1になったエースが、これを外すはずもなかった。表彰式で、秋の日にしては非常に強い陽光に照らされて輝く選手たちは、単に逆光だったのではなく、彼ら自身が輝いていたからなのかもしれない。

<GK>下川:6(落ち着いたプレー)
<DF>深谷:6.5(1対1で強さ)、森重:6.5(ポジショニング完璧)、上本:6(フィジカル活かす)
<MF>高橋:6.5(何度も崩す)、エジミウソン:7(攻めに効果的に絡む)、ホベルト:6(早いチェック)、藤田:5.5(クロス上がらず)、金崎:7(攻撃の起点に)
<FW>高松:7(先制点は難しい形)、ウェズレイ:6.5(勝負強さ出す)
<SUB>森島:5.5(運動量に不満)、小林宏:評価なし、西山:評価なし
※清水、小林亮、家長、清武は出場せず
<監督>シャムスカ:6.5(よい時期の形の復元に成功)

当時トリニティを名乗って旧JFLに昇格した大分の初戦、東京ガスと戦った西が丘競技場での一戦が思い出された。大分はアマチュア主体だったあそこから、ついに戴冠するに至ったのだ。かつて僕が応援していた横浜フリューゲルス天皇杯を制して消滅したあの試合も、相手は清水エスパルスだった。あの日も今日も、素晴らしい戦いで敗れ去った清水に敬意を表して「good loser」と呼ばせていただこう。