【ブリヂストン美術館】雑踏のオアシス

目的地というよりは、時間つぶしだったのですが、10数年ぶりに東京・京橋のブリヂストン美術館を訪れました。ちょうど「プリズム:オーストラリア現代美術展」を開催中でしたが、土曜日でもそれほど人は多くなく、ゆったりとした時間を過ごせました。

絵画にしても写真にしても、オーストラリア美術の根底にはアボリジニのプリミティブ・アートが流れてるような印象があります。芸術家がそのような素材を愛するからなのか、展覧会を催す側のキュレーターの発想がステレオタイプなのかはわかりませんが… 僕も普段は伝統的な日本人の生活は送っていないけれど、写真を撮ろうとすると和風な季節感に題材を求めてしまいますが、もしかしたらそれと同じことなのかもしれません。

僕が時間をかけて鑑賞したのは、常設展の方でした。かつて僕は「ルノワールの描く女性の肌に使われる青の魅力」に気づきましたが、今回その「すわるジョルジョット・シャルパンティエ嬢」に再会を果たしたのです。また、最近思うのはモディリアーニの描く細長い顔の女性も、ローランサンの作品のほの白い表情の少女も、現実に似た人がいるということです。彼らの作品を見ながら、ヨーロッパの街角で出会った特徴的なプロフィールを思い出しました。

この美術館の唯一最大の欠点は、「展示室中央のソファにいつも誰かが座っていて、かなりの確率で無駄話をしている」ことでしょう。銀座でショッピングなのか、日本橋の商店の旦那なのかわかりませんが、それを承知でいくなら有閑な気分を感じられることでしょう。

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/