【パウル・クレー展】抽象の表すもの

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千葉県佐倉市川村記念美術館で開催されているパウル・クレー展を鑑賞してきました。この美術館は郊外の広大な敷地に、散策路や白鳥のいる池まである癒しの空間です。京成とJRの佐倉駅から無料のシャトルバスで20~30分というところも、ちょっとした遠足気分に浸れます。

さて、肝心の絵画ですが、クレーは色彩を巧みに使った抽象的な作品で知られる画家。この展覧会では、彼の画風の変遷がよくわかります。クレーは同じく抽象画家のカンディンスキーと親交が厚かったそうですが、画風には大きな違いがあると感じました。カンディンスキーモンドリアンの抽象画は色と形の造形美なのですが、クレーはピカソやブラックに近く、具体的な対象物を色と区画に切り分けて表現しているのです。

僕が興味を持ったのは、「区画」という視点です。ビデオカメラの画像にモザイクをかけると、長方形の区画ごとに色合いが明確にわかれますが、ブラックやクレーの抽象画はまさにこの手法だったのではないでしょうか。視覚が認識するものを、任意の大きさの区画に切って、その中で表現すべき色を決める。そうすれば、彼らのような絵画が描けそうな気分に、この展覧会を見てなったのです。

ところで、僕がこの日に最も気を惹かれたのは、常設展にあったピカソの「シルヴェット」という作品です。これは具象的に描かれていて、ちょっとマンガチックに憂いを帯びた少女の横顔を、しばし見入ってしまったほどでした。

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