【東京都現代美術館】アートと音楽

東京・木場の東京都現代美術館で開催されている「アートと音楽」は、とてもインスパイアされる展覧会です。展示の数は多くないのですが、かえってこのくらいの方が集中して作品を味わうことができて、ちょうどよいと感じました。

最初の展示は、水を張ったプールの水面に陶器がたくさん浮かべられていて、水の流れで接触する際の音が教会の鐘のように「偶発の音楽」として楽しめます。一方、コンピューターグラフィックで表示された図形によって奏でられる音楽は「計算された音楽」。両者の対比がとても理解しやすく、そのおかげで「エンジニアに音楽好きが多い」ことに納得してしまいました。

美術館の公式ホームページでは、「音楽とヴィジュアルアートは互いに密接な関係をもちながら進化してきました」としてカンディンスキーとクレーをその代表として挙げています。先日、ブリヂストン美術館では「ドビュッシー、音楽と美術」という展覧会が開催されましたが、これは単に同時代性にフォーカスしたもの。「アートと音楽」の両者をしっかりと理解したキュレーションは感動的でした。

絵画の展示ではカンディンスキー、クレーという流れにジョン・ケージを続けていましたが、このキュレーターのセンスは、完全に僕好み。さらに「音=波動」という展開になっていて、僕がザオ・ウーキーや秋岡美帆を好きな理由も、カンディンスキーやクレーへの興味の延長にあるのだと理解することができました。坂本龍一が参加している作品もあるので、音楽ファンでも楽しめると思います。

http://www.mot-art-museum.jp/music/