【ワールドカップ】日本は成熟したか

日本チームの勝利について語る前に、フランスの出来を検証してみたい。アンリとマルーダを先発から外したフランスは、チグハグなサッカーでウルグアイと引き分けた。強かった頃のフランスは、パスを受けた選手が必ず相手をひとりかわしてからパスを出していたものだが、そんな積極性もなく、平板な出来だった。

しかし、これを一概に「消極的」で片付けてはいけない。決勝トーナメントを視野に入れているチームは、初戦にピークを持ってこない。まずは負けずに勝ち点を手にし、計算できる状況を作る。そして、トーナメントで本気の勝負に持ち込むのだ。日本とカメルーンの試合も、これと同じ空気が流れていた。つまり岡田監督は、本気でベスト4を狙っていることの証ではないか。

中村俊輔か本田かと騒がれた司令塔は、果たして存在しない結果となった。ワントップに本田、ワイドに大久保と松井、サポートに長谷部と遠藤、そしてアンカーに阿部。ビルドアップを放棄し、ポストプレーも放棄してサイドアタックからのチャンスメイクに賭けた。そしてその戦術は、松井のキープからのクロスに大久保がつぶれ役となり、本田が小憎らしいほどの落ち着きで決めたゴールで結実する。

ここまでの岡田監督は合格点だ。オランダ戦に勝つという色気を出さずに、中村俊輔や森本を起用してカメルーン戦のスタメンを温存できれば、岡田の戦術眼は初めて本物だと言えるだろう。