【写真美術館】展覧会3本立て

土曜日に、恵比寿の東京都写真美術館に行ってきました。ここでは複数の展覧会を同時に開催していることが多いのですが、この日はそれぞれに魅力あるアプローチの展覧会を3本立てで楽しめました。

まずは「世界報道写真展2006」です。報道写真というと、どうしても「悲しみ」をクローズアップしたものになりがち。僕には、目の前の悲しみを過度に強調することで、その背後にある同じような悲しみが色あせてしまうことが気になるのです。この展覧会もやはりそんな悲しみを描いたものが多い反面、ところどころに「幸せ」を切り取った写真があり、救われた気持ちになりました。

次は「イザベル・ユベール展」。これはフランス人の女優イザベルをモデルにした、多数の写真家の作品が並べられています。どのショットもすべて同じモデルで、若い頃のものも、年老いてからのものもあります。しかし、それぞれにとても魅力的なのです。一番興味を惹かれたのは、モデルの目線の送り方によって、表情はもちろん全体的な印象がまったく違って見えること。やはり「目力」って、大きな影響を持っているのですね。

そして最後は「キュレーターズ・チョイス展」で、学芸員のスタッフがそれぞれの視点で厳選した写真が、選者のコメントつきで展示されています。写真にはほんとうに多彩な表現があることにあらためて気づかされますが、特にプリントする媒体、レタッチの有無や仕方によっても、対象が異なった見え方をするところがおもしろかったです。写真は「真を写す」というよりも、写真家の中で再構築された芸術作品だということなのでしょう。