【写真美術館】芸術写真/ベッティナ・ランス

自分の中のクリエイティビティを失いたくないので、東京都写真美術館の展覧会をときどき覗いて、カメラマンの視点に刺激を受けています。今回は、「芸術写真の精華 日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展」と「ベッティナ・ランス写真展 MADE IN PARADISE 女神たちの楽園 セレブたちの美しき幻影と」のふたつを鑑賞しました。

「芸術写真の精華~」は、ソフトフォーカスを駆使した絵画的手法のモノクロームな世界観を堪能できます。色彩ではなく濃淡で表現された空間は、まさに水墨画のようでした。写真という写実的な媒体であるはずなのに、デフォルメされたかのような印象を受けるのは不思議です。

そして「ベッティナ・ランス写真展」は、一転して華やかな色彩に酔いそうな展覧会です。マドンナ、シャロン・ストーンケイト・モスシンディ・クロフォードといったセレブな女性たちのポートレートですが、自信に満ち溢れたモデルの見せ付ける表情とポーズは、それだけで圧倒されそうなパワーがあります。そんな中では道端ジェシカは地味な表情ですが、抱いている猫の驚いたような眼差しとの対比が興味深いです。

ここの美術館は、恵比寿ガーデンプレイスをたまたま訪れた観光客が立ち寄ることもあるようですが、いきなりこんな写真を見せられて不満そうにしている人たちもいました。写真というアートの特性上、やむをえないところでしょうね。

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