【都写真美術館】写真の可能性

恵比寿の東京都写真美術館で開催されている3つの展覧会を一気に鑑賞しました。チケットはセット料金が設定されていて1,650円。それぞれに、それほど展示数が多くないことを考えると、やや割高な印象は残ります。3つを通して感じたことは、「写真は過去の記録でもあり、未来への創造でもある」ということでした。

まずは、3階展示室の「私を見て! ヌードのポートレート」。挑発的なタイトルですが、芸術性は高いですし、中には男性の裸体もあって決して低俗なものではありません。篠山紀信アラーキー、中村立行といった日本人から、ベロック、レヴィなどの外国人の作品まで幅広い展示内容。特に印象的なのは、メイプルソープが撮影したパティ・スミスの写真でした。これは以前にも見たことがあるのですが、表情から伝わるメッセージが圧倒的でした。

続いて2階の「オノデラユキ 写真の迷宮(ラビリンス)へ」。青空を背景に衣服だけを写した作品や、ポップな雑貨を配置した作品など、創造性の高いクリエイティビティで観る者をインスパイアしてくれます。街角を行く人物の表情をテキスタイルで隠した作品は、未完成さを漂わせながらも独特のメッセージを発していました。

そして、最後は一番混雑していた「世界報道写真展2010」。回遊性のない展示スペースのため、混雑していると非常に見難いのでご注意を。衝撃的な戦場の写真も多く、「過去」を切り取って現在に留め置いている点が、写真の原点なのでしょう。静止させられた人物の表情が、そのときの感情を怖いほどに焼き付けています。そのようなネガティブなものだけではなく、ペンギンの大集団や水鳥が水面に飛び込んだ瞬間の表情など、ホッとするネイチャーシーンも見ることができます。

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