【Chicago】XXXは最後まで聴け

正直言って、このアルバムを中盤まで聴いて、酷評しようという気になっていました。ところが、9曲目の"Already Gone"で多少気を取り直し、11曲目の"Lovin' Chains"で胸をなでおろし、そしてラスト13曲目の"Feel (w/Horns)"で満足してしまいました。途中でガッカリした方も、ぜひ一度最後まで通して聴いてみてください。

前半はプロデューサーのジェイ・デマーカスがカントリー系の人だからかとすら思わせるような時代を感じさせるアレンジ、そしてスカスカの薄い音作り。それぞれのパートの一体感がないし、ホーンも「あるから使う」程度にしか登場しない。TOTOが新作"Falling in Between"をかなりハードに仕上げてきたように、時代は明らかにハードで厚い方向に向いている中、これはシカゴが提示した「アンチテーゼ」なのかと深読みしたくなりました。

冒頭に書いた3曲を含む後半は、そんな僕の気持ちを読み透かしたかのように厚い音で、ホーンも泣かせてくれるような使い方をしてくれます。僕の中でシカゴは「17」がすべてだったのですが、このアルバムはなかなかおもしろいし、次にも希望をつないでくれる出来に仕上がっています。