【EURO 2024】フランス―ベルギー

ノックアウトステージの1回戦らしい、手堅いスタートになったフランスとベルギーの一戦。延長戦を想定すると無駄なエネルギーは消費したくないし、点を取るより取られたくない意識が勝る。そしてそもそも、グループステージでの疲労も徐々に蓄積しているはず。その結果、フランスがボールを持ちながらも攻め切れない時間が続いた。テオ・エルナンデスの仕掛けはもうひとつ合わず、グリーズマンのセットプレーもゴールの予感が漂わない。そして、頼りのエムバペも目立った活躍が見られなかった。

前半の終盤くらいから、少しづつオープンな展開も見え始めではいたが、ベルギーの堅い守備に綻びを見出し難い状況のまま時間は経過する。延長戦に入る可能性を踏まえると、選手交代による打開策も一種のギャンブルだ。結果的にフランスは、テュラムをコロ・ムアニに代えただけで試合を終えることになるのだが、そのコロ・ムアニが結果を出したことは象徴的だ。

公式記録ではオウンゴールとなったようだが、あれは90%以上コロ・ムアニのゴール。ゴール前でパスを受けて振り抜いたシュートが、ベルギーDFフェルトンゲンの足にディフレクトしてGKカステールスが逆を取られる形になったものだ。延長突入が濃厚に見えた85分に生まれたゴールは、前日のイングランドのベリンガムが放ったバイシクルほどではないにせよ、劇的なものだったことに違いない。

フランスの準々決勝の対戦相手は、現時点でまだ決まっていないが、ポルトガルスロベニアのどちらが勝ち抜けるにしても、延長戦の消耗は残っているだろう。