【ワールドカップ】フランス―モロッコ

フランスサッカーの神髄を見せてくれた準決勝だった。どうしてもエムバペのような個のスキルに目が行きがちだが、このゲームの見どころはパスだった。出し手と受け手のタイミングの合わせ方も絶妙ならパススピードも速く、次のプレーを見据えたボールの受け方も圧巻だった。先制の場面でも、ヴァランの出した長いパスは通らないように見えたが、DFをすり抜けるようにグリーズマンに収まる。グリーズマンは前回大会のように自分主体ではなく、周囲を生かすプレーが際立っている。このゴールも、グリーズマンがチャンスメイクに徹したことで生み出されたものだ。

序盤は堅い展開で、両チームともにキープから無理をしてないように見えたのだが、一周の隙を突くところはさすがとしか言い様がない。中盤ではラビオが欠場していたのだが、それを感じさせることもなく、結果的には決勝でのオプションを増やした形になったこともデシャンには朗報だったはずだ。終盤には、投入したばかりのコロムアニがこぼれてきたボールを蹴り込んで追加点。良い流れがフランスにあることは、間違いないだろう。

ただ、気になるのは自陣ゴール近辺でのファウルの多さ。PKが勝敗を分けているケースも見られるので、メッシ擁するアルゼンチン相手には要注意だ。今日はクンデが良い仕事をしていたが、読みでポジショニングではなくフィジカルで行こうとすると、狡猾なアルゼンチンにやられてしまいかねない。モロッコもそうだが、虚偽も含めたファウルのアピールは一流だからだ。あと1つ、レ・ブルーの勝利を期待している。