【ワールドカップ】アルゼンチン―フランス

壮絶で、そして素晴らしいゲームだった。ディ・マリアのPK獲得の「演技」からの2点目で、代表引退を表明している彼の有終の美を飾る決勝戦になってしまう感覚にあふれたまま時間が進む。しかし、それを止めたのはエムバペ。PKでゴールを決めた直後に、テュラムとのワンツーから右足を豪快に振りぬいたシュートをゴールネットに突き刺す。さらにはメッシが存在感をアピールするかのように決めたものの、またしてもエムバペのシュートから得たPKでフランスが追いついた。

このブログでも何度も書いているように、PK戦にもつれ込んだ時点でフランスは圧倒的に不利。ロリスがアルゼンチンのPKを止められる予感はさらさらなかったし、メッシがPKを蹴る際のロリスの稚拙な動きを見るだけで、アルゼンチンの選手はプレッシャーから解放されたに違いない。延長終盤にマンダンダに代える選択肢もあると思っていたが、さすがにこの試合の展開ではその判断も難しかったし、キャプテンを最後に舞台から降ろすという決断もデシャンにはできなかったことだろう。ロリスに比べると、エミリアーノ・マルティネスの存在感は圧倒的だった。ちなみに、結果的にフランスは、脳震盪による交代を含めると7枚のカードを使うことになるのだが…

それにしても、フランスは動きが悪かった。アルゼンチンのスカウティングが上回ったとも言えるが、やはり直前にコンディション不良者が大量に出たこともあり、またジルーやデンベレは疲れも溜まっていたことだろう。テュラムやコロムアニを最初から使う選択肢もあったとは思うが、自国サポーターの手前、決勝戦でギャンブルはできなかっただろうし、延長戦を考えるとデンベレはまだしもジルーの投入判断は難しい。控えメンバーも活躍したフランスではあるが、やはり主力の不在が最後に大きな足枷となったのは間違いない。それでも、ここまでたどりついて素晴らしいゲームを見せてくれた選手たちには拍手を贈ろう。そしてアルゼンチン、優勝おめでとう!