【EURO2020】フランス―スイス

後半ロスタイム突入するかしないかという時間帯に、スイスが追いつく。スイスの執念はすさまじく、FW陣のゴールに向かうパワーやフィジカルの強さを生かした迫力満点の攻撃がついに実った。延長では、両チームとも疲労が蓄積していた印象で、プレーにキレを欠いていた。途中交代で入ったジルーの惜しいプレーもあったが、完全に崩せていたわけではなく、スイスの守備も堅かった。

そして、ついにPK戦。僕がデシャンなら、残っていた交代枠を延長後半の最後にGKをロリスからマンダンダに代えることで使ったことだろう。それほどにロリスはPKをセーブできる見込みはなかった。フランスは5人全員が決める前提で、スイスの3人目か4人目の失敗を待つか、6人目以降で決着をつけたかったと思う。PK戦では、最初の2人と締めの1人に良いキッカーを回すからだ。スイスの4人目を務めたヴァルガスが穴だと思っていて、彼のPKをロリスは触ったのだが、残念ながら勢いを止めるまでは至らなかった。その前のキッカーのときに、ロリスは2~3歩動いて逆に蹴られるという、PK戦に弱いGKにありがちなプレーを見せており、この時点でフランスは勝ち目がなかった。

最後のキッカーとなったエムバペのキックをゾマーが止めたが、エムバペの失敗で終戦となるのであればフランスとしては納得せざるを得なかったのではないか。何度も言うように、ロリスでPK戦に臨んだ時点でかなりのギャンブル。左サイドバックがいない状態の選手起用では、フランスはもはや先が見えなくなっていたのかもしれない。