【ドラマ】成りあがり者

ジェフ・ダニエルズが主演ということで、興味を持って見た作品。ジェフ・ダニエルズは不遜で高慢な人物を演じたら天下一品だ。本作は銀行から事業資金として多額の融資を受けながら、プライベートジェットやパーティなど個人的な支出で浪費して破産寸前に陥った経営者を描く。銀行サイドのトム・ペルフリー演じるピーピーとビル・キャンプ演じるハリー・ゼイルが、嫌味たっぷりに追及する様子が心地よい。

主人公のチャーリー・クローカーのような男には、正義の鉄槌を下したくなるし、それが自分でないとしても誰かに委ねたい。チャーリーの部下の夫が駐車違反の現場で警官を殴打してしまった事件と合わせて描かれるのだが、中盤以降はそちらに主軸が移った感もあり、中途半端になってしまったことは残念だ。こちらの事件の判事も十分に不遜で高慢なのだが、最後の最後で法に忠実であろうとすることで、チャーリーとの違いは見せつけていた。

チャーリーの前妻マーサを演じたダイアン・レインは、僕が社会人になりたての頃に名前を冠した邦題の映画を見たことがあって、それなりに思い入れのある女優。59歳の彼女がベッドでピーピーと絡んでいるシーンは衝撃的ではあったが、ルーシー・リューとの会話シーンもかなり長い尺があって楽しめた。

リミテッド・シリーズとしてオチをつけてしまってはいるのは残念だが、時を遡った設定で続編を制作することはできそうに思うので、もう少しこの世界観を味わってみたいと思っている。