【Amazon Prime】倒壊する巨塔

実話をベースに「9.11」を描くフィクションとしてアマゾン・プライムで配信されている「倒壊する巨塔(原題:The Looming Tower)」は、ドキュメンタリーフィルムを交えて真実味をふんだんに見せつけながら展開する。ストーリーとしては、アルカーイダの一派が米国に入国したことを知りながらCIAはFBIに情報を提供せず、阻止できたテロを実現させてしまうというものだ。

CIAとFBIの対立という視点もいかにもなのだが、最も衝撃的だったのはCIA長官だったジョージ・J・テネットの証言映像。「そんなメールは誰も読んでいないし、責任がだれにあるかもわからないので、調査して報告する」という責任逃れとしか思えない証言を公聴会で行うシーンは、目を疑うしかなかった。テネットを演じるのは名優アレック・ボールドウィンで、それなりに悪役っぷりを見せてくれるのだが、本人の映像を見ると比べ物にならないくらい無責任な様子がうかがえる。

主役といえるジョン・P・オニールを演じるのは、「ニュースルーム」のウィル・マカヴォイ役で知られるジェフ・ダニエルズ。ちょっとした表情が雄弁で、FBIの置かれた微妙な立ち位置を好演している。全10話のバランスもよく、最後まで興味を持って一気に見てしまいたくなるドラマシリーズだ。