【ドラマ】ジェントルメン

映画版も見ているはずなのだが、ほとんど記憶に残っていない。このドラマ版も、何がテーマでどうオチがついたのかまったくわからないままではあるが、プロットの面白さが実に秀逸なので、飽きずに見ることができた。中盤はややストーリーの肉付けに走った結果、中だるみしてしまった感も否めないが、1話目で見せたダニエル・イングス演じるフレディのニワトリダンスで一気に惹きつけられたパワーは最後まで消えなかった。

英国貴族の世襲という「ダウントン・アビー」のような世界観もあり、「ブレイキング・バッド」を思わせる薬物プラントも登場し、また「ファーゴ」のように普通の人がドツボにハマってゆく過程も描かれる。これだけドラマとして王道の展開が用意されている中で、二番煎じにならない味付けも見事だ。その意味では、ジミー役のマイケル・ヴーのとぼけた存在感と狂言回し的な役回りが、本作の肝になっているようにも感じられた。

個人的には、他の作品で見慣れた俳優は少なかったが、スタンリー・ジョンストン役のジャン・カルロ・エスポジートは「ブレイキング・バッド」と似たような位置づけのキャスティングながら、若干コミカル要素も加えて多様な演技を見せてくれた。

最終話でもはっきりとしたオチがついていないだけに、シーズンをいくら続けても不自然にならないはず。「ツイン・ピークス」がそうだったように、テーマもオチも何だかわからないまま続くドラマも、決して悪くはない。シーズン更新に期待しよう。