【ドラマ】ベター・コール・ソウル シーズン6後半

<ネタバレあり>

ベター・コール・ソウルはブレイキング・バッドの前日譚。つまり、ブレイキング・バッドに出てくるキャラクターが死ぬことはないし、出てこないキャラクターは何らかの事情でいなくなるはずだ。その意味で、ファイナルシーズンの6話を残して中断していた本作のフィナーレに対する多くの視聴者の期待は、「キムはどうなってしまうのか?」を見たいということふぁったのではないだろうか。

そして、その答えは想像を超えていた。第11話「ブレイクング・バッド」でホワイト先生とジェシーが登場して時間の同時性を示すと、一気に時間軸を飛び越える。エンディングでは、ブレイキング・バッドの前日譚ならぬ後日譚まで描いてしまうのだから、6話残してブレイクを挟んだ意図も理解できるというものだ。前日譚にしてはソウルがどんどん老けてゆくあたり、撮影面でも厳しいものがあったはずで、実際に登場したジェシー・ピンクマン役のアーロン・ポールは若者とはとても言い難い雰囲気だった。それもそのはず、彼の実年齢は現時点で42歳なのだから。

いったん姿を消したキムは、フロリダでの生活を経てアルバカーキに姿を現す。そこから先の彼女が、このドラマ全体の行きつく先であり、この部分こそがクライマックスなのであった。レイ・ソーホーンの抑えた演技は素晴らしく、バスの中で号泣するシーンやハワードの妻にすべてを打ち明けるシーンは時間の流れを忘れるくらいだった。最終シーンも映像美を意識したもので、キムとソウルの気持ちまでをワンカットで見せてくれる。濃密すぎて、余計なことを考える隙がないような、そんな終盤の盛り上げにすっかり引き込まれてしまった。