【ドラマ】ファーゴ シーズン3

時代は2020年まで進み、ミネソタでまたしても起きる不可解な事件。巻き込まれてドツボにハマってゆく兄弟を、ユアン・マグレガーが二役で演じ分けている。髪の毛が後退した弟レイの風貌が見るからにコミカルだが、そこに相方ニッキーの存在感が絶妙にマッチしている。

ユアンといえばオビ・ワン・ケノービだが、ニッキーを演じるメアリー・エリザベス・ウィンステッドは「アソーカ」でヘラ・シンドゥーラを演じているので、オビ・ワンとヘラが絡んでいる姿は何とも違和感がある。そして、ユアン・マグレガーとメアリー・エリザベス・ウィンステッドは実際に夫婦でもあり、その過程ではいろいろとスキャンダルを巻き起こしていることも含めて、この作品の影響なのだろう。

その意味では、シーズン2でメインキャストを務めたキルスティン・ダンストジェシー・プレモンスも夫婦なので、この作品には何らかの作用を起こすパワーがあるのかもしれない。

「ファーゴ」はキャスティングがとにかく豪華だが、このシーズン3も例外ではない。とりわけ異色の俳優が脇を固めているのが特徴で、「ツイン・ピークス」でローラの父親を演じたレイ・ワイズの味は独特であり、「ハリー・ポッター」シリーズでリーマス・ルーピン役のデヴィッド・シューリスの気味悪さは圧倒的だ。

彼の演じるV.M.ヴァーガというキャラクターの素性は明確には語られないが、ロシアのことわざを持ち出したり、ブレジネフの肖像画を飾っていたり、そしてロシア民謡と思われる音楽を意図的に合わせていたりしたことからも、ロシア系なのだろう。ということは「V.M.」は「ウラジーミル」という意味ではないだろうか。

このような細かい部分までこだわって作り込まれているところが、「ファーゴ」にお魅力と言えるだろう。シーズン1で印象的な存在だったレンチが登場したことで世界観の関連が示されたことも、この手の作りとしてはうれしいものだ。