【ドラマ】ハリー・パーマー 国際諜報局

そもそもどんな設定で、何を描こうとしているのかをつかめないまま物語が進行してしまい、入り込めないまま全6話が終わってしまった印象だった。西ベルリンで始まったものの、ロンドンを経てベイルートや太平洋の島に飛び、いつの間にか英国に戻ってくるという展開にも、いまひとつ必然性が感じられない。

本作の一番の見どころは、スパイとして敵側に催眠を受けてしまった主人公ハリー・パーマーを演じるジョー・コールの演技。特に目の表情を微妙かつ巧妙に演じているところには、恐ろしさすら感じるほどの迫真の演技なのだ。

一方でルーシー・ボイントンが演じるヒロイン的な存在のジニーは、その線の細い美しさから組織の現実味を失わせてしまった。日本のドラマではありがちな、いかにもとってつけたようなヒロインで、男性視聴者の目を惹こうという意図が垣間見えてしまうのが残念だ。演技が下手ということではなく、あくまで設定とキャスティングが合っていないということだ。