【ドラマ】FBIアカデミー クラス '09

時系列を崩して並行したプロットで見せる手法は、正直言って好きではない。特に本作では、過去と現在と未来という形で3つの時代を同じ俳優陣が演じ分ける。わかりにくい上にもったいつけている感じがして、どうにも中身に入り込めないのだ。全体を通したテーマのようなものが見えにくいこともあって、その傾向は助長されてしまう。

しかしながら、主人公テヨ・マイケルズを演じるブライアン・タイリー・ヘンリーの演技力は必見だ。アクの強いFBI長官の訓練生時代から3つの時代を演じるのだが、落ち着き具合や組織への反発度合などが、巧みに演じ分けられていて、ちょっとした表情にもこだわりが感じられる。一方、アシュリー役のケイト・マーラは「ハウス・オブ・カード」では若手記者ゾーイを演じていたが、さすがに10年近くが経過しているのですっかり落ち着いた雰囲気になっている。ただ「ハウス~」の放送が2013年なので、本作で2009年にFBIの訓練生という設定の容姿の方が明らかに大人に見えてしまうため、比較しようと見てはいけないということだろう。

犯罪を予測して防ぐという、いかにもAIやChat-GPTの話題に染まっている時代を表現しているともいえるが、ある意味「パーソン・オブ・インタレスト」のようなシステムなので、特にビジュアル面での二番煎じ感は否めない。システム的にはもう少しひねりを効かせてもらいたかったところだ。