【ドラマ】イエローストーン シーズン3

カウボーイとか牧場経営とかいう世界は、日本人には理解しにくい。このドラマも、序盤はそんな印象を持ちながら見ていたし、この世界観に入り込めない感じがあった。しかし、キャストの演技力というかキャラキウターの立ち方が凄まじく、反感すら超えて親近感を持ってしまうようになると、一気にハマる。ケビン・コスナー演じるジョン・ダットンは静かな迫力を感じるヤクザの親分のような描き方だが、その娘ベスのエキセントリックな演技は吹替のうまさと相俟って、強烈な印象を与えてくれる。

それにしても、本作の描く世界は、法律や正義がそのまま通るところではなく、自分や家族、仲間の利害を守るための武器として使われる。振り返ってみれば、少し前の日本にも残っていたことであり、局所的に見れば現在でもそんな世界は身の回りに存在する。つい、絶対的な正義があるような錯覚に陥ってしまうが、価値観の違いをもってすればそれは「自分勝手な」正義でしかない。法令の解釈においても、同じことが言えるはずだ。そんな世界で生きていく上では強くなければならないし、周りで起きるちょっとしたことにいちいち腹を立てていたらやっていられない。

この作品のメッセージは、そこにあるのではないだろうか。監視社会は、つまりはお互いの言動を過剰に意識する社会。ダイバーシティインクルージョンのように受容する意識を持たなければ、生きにくい。モンタナの牧場という場所を使って、そんな現代的なテーマを視聴者に投げかけているのだとしたら、それこそが何ともシュールだ。