【映画】ファーゴ

ドラマ版のファーゴをシーズン5まで見終わったので、かなり昔に一度見たことがある映画版も見直してみることに。あらためて感じることは、映画版の98分ではあっさりとした概略しか描けずに、コメディ要素の印象が強まってしまうということだった。もちろん、ドラマ版でもコメディに見える部分は多いのだが、全体のストーリーやその背景がしっかり描かれているので薄っぺらくならずに済んでいた。

映画とドラマでは設定が異なるが、要素としては共通している部分も多い。殺し屋のキャラ設定もそうだが、主人公の風貌もドラマ版のマーティン・フリーマン「ER」のモーゲンスタン部長役だったウィリアム・H・メイシーに似ているし、アリソン・トルマンとフランシス・マクドーマンドの表情にも類似性を感じる。「ミネソタ・ナイス」を体現させるための登場と言われているヤナギダの位置づけは、ドラマ版でのジョーダン・ピール起用につながっているのだろう。

ドラマ版は主人公がドツボにハマってゆく過程を描いていたが、映画版では「小金をせしめようと庶民」が結局損をするという道徳的な寓話のように展開する。その意味では、構成としてはドラマ版の方がコメディ要素が強いのかもしれないし、より多くの観点を詰め込んだから特定のテーマが薄まったという解釈もできる。

雪の中に隠した金の「伏線」がドラマ版で回収されることを考えると、やはり映画を先に見ておくのが正道なのだろう。しかし、ドラマ版もタイムラインを遡ることもあるので、後回しにしても十分楽しめる。