【ドラマ】エミリー、パリへ行く

Netflixのドラマ「エミリー、パリへ行く(原題:Emily in Paris)」は、最初のエピソードを見た限りではフランスと米国の文化や生活環境の違いをコミカルに描くコメディだと思った。それは、例えば電圧の異なる家電をコンセントに差してしまって、アパルトマンを停電させてしまうようなネタからだ。しかし、ストーリーが進むにつれて、フランス人から見た米国アレルギー的な要素が、かなりシリアスかつシニカルに描かれている。

そうは言ってもコメディであり、フランス人といえばロマンス。言い方を換えれば、軽くてエロい男女が繰り広げる日常に、若きアメリカ人のエミリーがいかにもアメリカ人らしく上から目線で立ち向かうということ。いかにもフランス人であり、いかにもアメリカ人なのだが、このあたりが実にうまく描かれていて食傷気味になることはない。ただ、展開はだいたい読めてしまうのだが…

それにしても、パリの風景は美しい。何ということもない街中の映像であっても、そこにいる自分を想像したくなるし、セーヌ川オペラ座などが出てくればコロナ禍であっても旅に出たくなってしまうのだ。建物の、あのちょっと黄味がかった白壁を見ると、いかにもパリという旅情が漂うから不思議だ。主人公のを演じるリリー・コリンズの眉毛は不自然で気になるが、このパリの風景を楽しむだけでもこのドラマを見る価値はあるというものだ。