【映画】LIFE!

この映画の序盤は、主人公ウォルター・ミティの妄想を映像化する部分がいかにもコメディで、ほかの部分の生真面目な流れとフィットしない感覚があった。しかし、ウォルターが旅に出てからは、グリーンランドアイスランド、ヒマラヤの美しい風景の中でリアリティあるストーリーが展開し、その中に散りばめられた冒険譚の要素が心地よい。ベン・スティラーが少年時代にスケボーのチャンピオンという設定だけはどうにもなじめなかったが、見終わったときに充実感が得られる作品だった。

メルカトル図法の地図は極地付近が引き延ばされてしまうので実態をつかみにくいが、グリーンランドアイスランドはお隣同士。グリーンランドは今もデンマークの一部だが、アイスランドもかつてはデンマークが領有していたという共通点もある。秘境感満載の映像は、旅好きな僕にはそれだけでツボにハマる。コロナウイルスの影響で隣の県にも行きにくい状況では、遠い異国への旅愁は募るというものだ。

コメディ寄りの部分もあるとはいえ、本作は基本的にはドラマだ。映画らしい一本筋が通ったストーリーに貫かれており、それが充実感につながっている。伏線の回収やどんでん返しのような見せ方もよいが、やはり本編ストーリーで何を語るかが映画にとっては重要だ。その意味で、この作品から伝えられたメッセージは、まじめにミッションを果たすことの尊さであると思っている。