【ドラマ】フォーティチュード/極寒の殺人鬼 シーズン2~3

シーズン1に比べてホラー要素が強まり、登場人物はより常軌を逸してゆく。元警察署長のダンの変化が最たるものだが、元行政長官のヒルダーのキャラクターも明確に変化していた。そのあたりの背景や理由付けが弱いので、見ている側としては何となく置いていかれたような、ついてゆけていない感覚を持ちながら展開を追うことになる。「ER」のニーラ役や「ブラックリスト」のミーラ役の印象が強いパーミンダー・ナーグラの存在も、結局位置づけがよくわからないままになってしまった。

シーズン2が10話でシーズン3が4話というバランスの悪さが謎だったが、10話ではまとめ切れずに、4話足して広げた風呂敷を何とか回収したというところだろうか。シーズン3はホラーというか、スプラッタのような展開に陥ってしまい、これをR15の扱いにして良いのかという疑問すら感じた。

スヴァールバル諸島という閉ざされたコミュニティにおいて、自分たちの正義を貫くか、ノルウェー本国の法律に従うかという状況で、住民たちは即断して行動する。それを煽ったのがダンなのだが、これはある意味、ワシントンDCの議事堂襲撃事件を煽った某大統領にも通じるとことがある。共和党の一部強硬派は、自分たちの偏向した正義の下に行動を起こしてしまったのだろう。

それはつまり、スヴァールバルという小さなコミュニティでは、容易に異論を唱えられないし、もっと言えば発言の自由度も小さいということ。日本でも、地方へ移住した人が直面する問題になっているが、まさに同じことなのだと思える。