【全豪オープン】ヒュウェット―小田凱人

オーストラリアン・オープンの車いす男子シングルス決勝は、ヒュウェットと小田凱人というトップ2の対決。全米で敗れたウデを退けて決勝に進んだ小田が、ヒュウェットを圧倒した。直前にInstagramで「俺には美学がある」と言っていた小田の真意はわからないが、守りに入ったり相手のミスを待つようなことはなく、終始攻め切った。

とにかく攻める小田は、リスクを冒して前に出る。車いすテニスの場合、2バウンドまで可能なので相手も余裕もあるし、頭上をロブで抜かれる可能性も高い。それでもネットに出ることによって、仕掛けるチャンスを貪欲に見出してゆく。それでパッシングショットを食らっても、すぐに切り替えて次のプレーに意識を向けていた。

ヒュウェットに対して圧倒的に優位に立ったのは、リターンエースを連発させたことが大きい。試合の流れというよりも、相対的な関係で優位に立ったことが重要で、ヒュウェットのサーブにプレッシャーがかかり、プレー選択の幅が狭められてしまったように見えた。声と全身で表現する気合いによっても、KIAアリーナの雰囲気を呼び込んでいたのだろう。

セレモニーでは、13歳のときにヒュウェットと練習したことに触れ、インタビューでは同郷で同い年の坂本怜への感謝も伝えた。すでに王者の貫禄は十分だが、まだまだ伸びしろはあるはず。この1年で体もさらに鍛えられたようなので、パラリンピックも全米も取ってのゴールデンスラム達成も夢ではない。