【全豪オープン】Day-13

オーストラリアンオープンも終盤に入り、まずは車いすテニス女子シングルス決勝で上地結衣がデ・フロートと対戦。どうしても勝てない絶対的王者に対し、上地はこれまでのテニスに大きく変化をつけてきた。車いすテニスは通常のテニスほどサーバーが有利ではなく、特に上地の場合は「いかにブレークするか」ではなく「いかにサービスゲームをキープできるか」が課題だった。

僕が見る限り、サーブ時に椅子をラインと平行にしていたところを、45度くらいの角度に変更していたように見えたし、正確性を少し捨てても勢いを失わないようなサーブをしていたように見えた。序盤はそれが奏功し、ファーストセットをベーグルで奪ったが、セカンドセットでは良いサーブが続かず、いつもの上地に戻っていた。ファイナルセットの第6ゲームでブレークポイントを3本握りながら生かせず、しかも完全に抜いたはずのショットを返されて、打てる位置に入ったにも関わらず動揺のせいか準備不足だったかでアンフォーストエラーとなったことが痛恨だった。

車いす男子シングルス決勝では。小田凱人もやはりヒュウェットに敗れた。若さから生まれる勢いとパワーを前面に押し出したプレーを見せた小田だが、強く打つことにこだわりすぎてミスを重ねてしまった。ボディに打たれた時の対処は楽天オープンから大きく進歩していたが、戦術面ではまだまだ成長の余地がありそうだ。対戦相手のヒュウェットも、この試合の勝利に並々ならぬこだわりを持っていて、優勝を決めた後の涙が印象的だった。

そして、男子ダブルス決勝にはクブラーと組んだリンキー・ヒジカタが登場。両親がオーストラリアに移住した日本人で、リンキーは土方凛輝という日本名を持ち、日本語も普通に話せるようだ。躍動感のあるテニスとポイントを決めたときの笑顔でホームの会場を完全に味方につけ、誰も予想しなかったチャンピオンにまで上り詰めてしまった。リンキーは昨年秋に日本で開催されたチャレンジャーにも参戦していたが、ダブルスでも1回戦負けするような選手だった。それがグランドスラムのタイトルを取ってしまうのだから、誰にでもチャンスがあるという感覚を得られるはずだ。