【全豪オープン】小田凱人―フェルナンデス

オーストラリアン・オープンの車いすテニス、男子シングルス準決勝に期待の小田凱人が登場。国枝慎吾が引退を発表した直後ということもあって、日本テニスの後継者として期待がかかる小田が、国枝のダブルスパートナーだったフェルナンデスと対戦した。強靭な腕っぷしから繰り出すパワーテニスのフェルナンデスに、こちらも思い切りのよい攻めを見せる小田がどう戦うのか興味津々だった。

序盤だけ見れば小田の楽勝かと思われたが、そこはさすがにフェルナンデスは経験がある。車いすテニスの場合、サーブに高さをつけることができないため、サーバー側が有利ということもない。さらには、レシーバーはサーブのタイミングに合わせて後方から勢いをつけるので、そこをずらされたりトスを上げ直されたりするとやりづらい。フェルナンデスはそのあたりを意識したプレーで、巧みに小田のリターンを難しくしていたように見えた。ただ、それが行き過ぎると自分のプレーができなくなるので、フェルナンデスとしてもギャンブル要素のある戦術だったはずだ、

セットオールから迎えたファイナルセットは、いきなりフェルナンデスがブレークするも小田が3-1とひっくり返す。しかし、ここからフェルナンデスが4ゲームを連取するが、小田の気持ちが逸るところをうまく返されたということか。3-5からの第9ゲームでマッチポイントを握られながら、気迫で粘ってセーブ。ここから小田が勢いを得て、怒涛の連取でマッチポイント。この展開は、まさに昨年の楽天オープンで一度は国枝を逆転して金星かと思われたあの試合の再現のようだった。楽天オープンでは国枝に再度逆転されてしまったので、今回はその経験も生かしていたのだろう。

フェルナンデスのリターンが高く上がって外れるコースに出た時点で両手を広げた小田は、アウトになった瞬間に喜びを爆発させた。国枝が「最強」のまま引退した直後に後継者がファイナリストになる。楽天オープンから続く歴史の転換点を、僕たちは目撃した。