【USオープン】小田凱人―ウデ

グランドスラム3連勝を目指していたはずの小田が、早々に姿を消してしまった。結果を先に知って、その理由を探る形になったのだが、最初はコンディショニングの問題ではないかと思っていた。3日前にニューヨークに入ったようなので、東回り特有の時差ボケがあってもおかしくない。しかし、試合前に松岡修造のインタビューを受けている様子を見る限り、それはなさそうだった。試合の状況からも、決定的に何かに問題があるという感じではなかったので、複合的な理由なのだろう。

ただ、松岡のインタビューやInstagramなどでの内容から、「ただ勝つだけではダメ」という意識が非常に強かったように見受けられたことが気になる。国枝慎吾の後継者として順調にローランギャロスウィンブルドンを制してきた経緯から、車いすテニスを一段上のステージに引き上げたいという思いも相俟って、自分の目標を高くおいてしまったのではないか。そこに52歳とはいえ百戦錬磨の上に、障害の状況からほぼ立位のような状態でプレーするウデの好調さが重なり、悪い方向に回ってしまった。もしかしたら、重いと言われるUSオープンの公式球に合わせ切れなかった、という可能性もあるかもしれない。

この敗戦は、小田にとっては大きなショックに違いないが、これから長く続くであろう彼のキャリアを考えれば、ちょっとした足踏みでしかない。これを次につなげれるために、しっかりと振り返って欲しい。一方で、余計なことに気を回さず、一人の若いプレイヤーとしてテニスを楽しむという原点に戻ってみてもよいのではないだろうか。