【ローランギャロス】ヒュウェット―小田凱人

ローランギャロス車いす男子シングルス決勝は、全豪と同じカードとなった。若さとパワーを全開にした小田はメルボルンでは敗れていたが、今回は一味違った。試合開始からフルパワーで行くところは変わらないものの、ショットの選択や正確性が格段に向上しており、スーパーショットの連続だった。ファーストセットは、ヒュウェットの調子が上がる前に押し切り、セカンドセットはブレーク合戦となりながら、4-4に追いつかれた直後のリターンゲームを奪って勝ち切った。

終盤には、楽天オープンの決勝でも見られた観客を煽る仕草を何回も見せ、観客の二人が見せるプレーのレベルの高さを楽しんでいた。ヒュウェットのセカンドサーブを狙って前に出ることでプレッシャーをかけ、難しい体制から逆クロスに決めるなど、とにかく素晴らしい内容。特にセカンドセットは競り合いの中で、気迫を見せながらも冷静さを失わないところに成長を感じさせてくれた。

優勝スピーチでは、少し早口ながらしっかりとした英語で対応。日本語では、かなり挑戦的なメッセージも発していたが、17歳の若武者がここまでやってくれるのは本当に頼もしいし、今後にも期待が募る。敗れたヒュウェットの茫然とした表情が、小田の末恐ろしさを表現していたようにも思う。おめでとう、小田凱人!

ちなみに、WOWOW解説の国枝慎吾さんが「ヒューイット」に近い読み方をしていたので、おそらく本来は「ヒューウィット」なのだろう。ここではとりあえず、綴りに合わせたヒュウェットとしておく。